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会員シリーズ(2022年)
過ぎし日を語る 県庁東館で過ごした私の雑記
令和4年2月9日、香川県県庁舎東館が国の重要文化財に指定されました。1958年に落成された東館は建築家・丹下健三氏の代表作の一つであることは、香川県民の広く知るところです。
その歴史ある香川県庁東館7階住宅課分室にて、県営住宅指定管理者として在籍するのは、まだ50代半ばであった私には人生の転機でした。
平成18年6月1日から令和3年3月末の約15年間に亘り、業務が続くとは発足当時には知る由もありませんでした。
住宅課分室の業務内容を思い返しつつ、少しご紹介したいと思います。月曜日から金曜日まで始業午前8時30分…終業午後5時15分。隣接する県住宅課職員と同様の勤務時間です。
香川県内には30団地・6400戸が西は観音寺市、東はさぬき市に点在します。入居世帯は約4500にのぼります。
県民と直接接触するのは、空戸の入居募集業務です。年4回6月、9月、12月、3月に入居希望者を募ります。
その際知恵を絞るのは希望者が高齢化の一途を辿る現状に配慮した、低層階空戸とEV棟の有無をいかに効率的に振り分けるかということです。
入居者抽選会は2階県庁ホールで一時間余りかかります。
抽選方法は、抽選器の中に番号が書かれた玉が入っており、抽選器(ガラポン)を回して玉が出た順番で決まる単純明快な方法です。
家賃は基本的に銀行口座引き落としですが、高齢の入居者の中には窓口に直接支払に来ることを月一度の行事として楽しみにしている方もいました。
常連の方が窓口に見えると、「今月もお元気そうで良かった」と思ったものです。
団地管理の要になるのは、二人1組体制で3組編成の巡回人です。世相を反映して新型コロナ対策で、マスク着用、消毒液携帯は必須です。
巡回内容は、各団地のお知らせ文章の配布、不具合場所の確認立会い、修繕後の確認など多岐に亘ります。
夜間管理は、緊急受付として警備保障会社に業務委託しています。しかし、当然緊急性のある事案は即時解決する必要に迫られます。
警備保障会社からは、当方が毎月提出する緊急連絡先に電話が入ります。5名が月替わりで当番に当たります。夜間の電話にドキリとした記憶は少なくありません。
団地設備の不具合は業者に急遽依頼して、暗い中当該団地に出向いたものです。しかし、私も年を重ねていくと夜間の車の運転がおっくうになってきました。
自身の年齢を感じるようになったのは夜間の電話からかもしれません。
通常の団地管理だけではなく、災害関係の業務も重要です。
台風や大雨などの警報が発令された場合には、24時間職員が交代で職場に待機します。また、緊張を強いられるのは火災が発生したとの消防署からの連絡です。急ぎ駆けつけ現地立会確認を行います。その後の対処は、県住宅課と打ち合わせのうえ決定されます。
また、最も暗い気持ちになるのは警察から入居者の安否確認の必要があるとの連絡があり、現地にて警察官と合流しての立会に臨むことです。
大変残念な事態もありました。
単なる留守が続いていただけとの安否確認がとれた時は、安堵したものです。
取りとめない雑記になりました。15年間に亘る私なりに全力を尽くした県庁での日々を振り返りました。入居者の方からのクレームに振り回され、頭の痛かった場面も今は懐かしいこの頃です。