寄稿(2023年)

協会について

寄稿(2023年)

四国新幹線(新)高松駅構想について

合田 耕三
(株)合田工務店一級建築士事務所

コロナに翻弄された3年からようやく先の明かりが少し見通せるようになりました。その間香川県建築士事務所協会は創立50周年という大きな節目を迎えたのですが、記念事業はできずに終わり大変残念に思いました。コロナという想定外の災害に、それも世界規模で見舞われて、一部の地域だけが回復してもどうにもならないグローバルな社会になっていることに気づき大変な衝撃を受けました。しかしそのような状況の中で確実に世の中は変化しています。困難で難しい問題が山積みですが、建築に携わる者の役割も大事になってきていると思われます。

さて今回は令和3年に香川経済同友会が知事・市長に行った「四国新幹線開業を見据えた街づくりの議論を」という提言書を披露させていただきたいと思います。四国新幹線が付いた時の高松駅を具体的にイメージしたものを4パターン用意しました。20年先の香川県及び高松市を創造して街づくりをしてみてください。新幹線に興味が薄い香川県人が多いのですが、全国で新幹線が通る町は栄えています、瀬戸大橋で我慢していては四国は取り残されるばかりです。建築士の皆さん頑張って考えてよい案があればぜひ香川経済同友会までご連絡ください。

四国新幹線(新)高松駅構想

1.JR高松駅付近
新高松駅イメージ図/JR高松駅付近

≪計画概要≫
現在の高松駅に併設し、かつ徳島方面への路線延伸を考慮して作成したイメージ図です。高松城址を避けて徳島方面へ延伸させるため、現在の高速バスターミナル付近にホームを設置する計画としています。なお、琴電高松築港駅につきましても、交通結節点機能を向上する観点から、新幹線に平行して駅を設置する計画としています。

≪まちづくり等≫
高松駅周辺、サンポート地区については、オフィスビル、コンベンション施設等が整備されており、さらに今後、総合体育館の整備が計画されています。新幹線整備により、関西や四国各県と高松が直結され、これらの施設の利用価値が高まることが期待されます。
また、高松駅は、JR在来線、琴電、路線バス、高速バスターミナルがあり、ここに新幹線が整備されることにより、一気に交通結節機能が高まります。今後、新幹線整備の経済効果を香川県全域に拡充させるためにも、利便性が高く、各交通機関の特性を活かせる、持続可能な公共交通ネットワークとして整備を進める必要があります。

2.JR栗林駅付近
新高松駅イメージ図/JR 栗林駅付近

≪計画概要≫
1970 年代、当時の本州四国連絡橋公団において検討された計画に基づくイメージ図です。本州方面からは、栗林公園北側でトンネルを抜け栗林駅付近に至り、徳島方面に向けては、高徳線と平行して路線を整備する案です。

≪まちづくり等≫
当該地区は文教地区、住宅地域であるとともに、瓦町に隣接する地域です。また西には、琴電琴平線が横断しており、ここに新駅を設置すると、高徳線、琴電琴平線と結節する総合駅となります。
栗林駅周辺のまちづくりについては、高松市において、瓦町周辺、サンポート周辺に加えて、新しい拠点として整備されることになります。

3.ことでん伏石駅付近
新高松駅イメージ図/ことでん伏石駅付近

≪計画概要≫
当該地域は、東西方向に平面で国道11号線バイパス、高架で高速道路が整備されており、新幹線は高高架として高速道路上へ整備、もしくは、高速道路に平行して整備されることになります。

≪まちづくり等≫
周辺は、郊外の住宅地域であり、近傍には大規模なショッピングモール(ゆめタウン高松)も整備されています。
当該箇所には、ことでん伏石駅の整備に続き、現在、バスターミナルを整備しています。この計画は、ここに新幹線駅を設置し、高松市南の交通結節点として整備するものです。この場合、電車、バス等によって、高松市中心部、並びに周辺地域から、新幹線駅へアクセス交通の利便性向上を図っておく必要があります。

4.高松空港付近
新高松駅イメージ図/高松空港付近

≪計画概要≫
本州方面から直接、高松空港に乗り入れ、そのまま徳島方面に向かう案です。高松空港の標高(185m)の関係から、地下駅での整備案としています。
この案では、高松空港から四国の各県都に1時間程度でアクセスできるようになり、高松が四国にとって空路と陸路のハブとなることが期待されるものです。

≪まちづくり等≫
当駅は、空港利用に特化した駅となりますが、高松市内へのアクセス整備が必須条件となります。新幹線への乗り継ぎを考慮した場合、定時運行確保の観点から、鉄軌道の整備不可欠であり、例えば、ことでん琴平線仏生山駅から分岐する、高松空港アクセス鉄道等の検討が必要になります。