井上 輝幸
T・Rアーキテクチュアル・コンサルティング(株)
北浜アリー(通称)は、食料品等の港湾倉庫群として戦前にJAが建てました。
当時は倉庫前の岸壁に貨物船が横付けをし、小麦粉など食料品等が保管され、各所に配送され賑わっていたようです。
当倉庫は5棟が連なっており、棟毎に区切られています。木造平屋建て、トラス組真壁造、梁間10.80m、軒高9m、奥行き36m、内部は白の漆喰壁、90センチ間隔の柱と筋違が壁に表れ、天井無の大空間は他に類を見ないものです。
屋根はセメントスレート葺き、波型鉄板スレートの外壁は、幾星霜の潮風と風雨に晒され赤く錆びついています。海上の波のざわめき、行き交う船の臓腑に響くエンジン音、遠くに聞こえる汽笛。
そして倉庫の赤錆の壁、それぞれが重なり合い、見事なハーモーニーとなって哀愁を誘います。
20年前、此の貴重な文化遺産を保存すべくJAの了解の元、井上商環境設計(株)・代表 井上秀美氏が開発を行い、県内外の優秀なテナントを募集、現在は、飲食店(イタリアン)、美容院、ショットバー、カフェ、雑貨店等が営業しています、井上氏自らも、JAの元寄宿舎をリフォームし、雑貨+カフェ(ナージャ)を営業し常に話題を提供しています。
北浜アリーの醸し出す、独特のノスタルジックな雰囲気が反響を呼び、開発当初から、雑誌の表紙、テレビの取材等に再三取り上げられ、不動の観光スポットとして県内外の観光客が来訪、食事もできる、デートスポットとして終日賑わっています
恒例の≪餅つき≫は中国蘇州の煉瓦を敷き詰めた北浜アリーの中央広場(通称煉瓦広場)で毎年、年末に行います。参加者がついたお餅を、ボランティアの方々がその場で、ぜんざい・雑煮を拵え振舞い、小餅のお土産もついています。
毎年参加者は増えているようです(昨年600人~700人)一般参加の他に著名な国会議員の先生、歴代の県知事、市長、又、サッカーのカマタマーレの選手たちが、子供達と一緒に餅つきを楽しみ、賑わいに華を添えています。会場には餅つきの他に、各島々より新鮮な野菜、イチゴ等の直売もあります。
更に、たこ焼き、うどん等の屋台もあり時間を忘れそうです、最近は太鼓ショーがあり、幼い子供が大人に交じって秀抜の演技をしており、思わず見入ってしまいます。
来客の駐車場の整理、会場の設営、ゴミの回収等は、全てボランティアの方々の協力により行われ、人と人との心の温かさが胸に沁みわたります(ボランティア 北浜男組 代表後藤氏)餅つきは、古来より日本文化の一つとして継承されてきましたが、店頭で出来合いの餅が並ぶようになり、それにつれて各家庭で行わなくなったようです、それ以前は各家庭で、又、親戚縁者が集まり年末の恒例行事として行われておりました。
新年を迎える為の儀式でもあった様です。
北浜アリーでは、失われつつある大切な日本文化の、餅つき、を広く継承しようとしています、親から子へ、その子から子へ伝わっていくことを願って・・・
チケット 1枚− 500 円(ぜんざい、雑煮、小餅)