激動の時代をこえて−

岡敬郎
(創建設計事務所)
(時代背景の変遷)
事務所を開設した昭和42年当時は、新幹線の開通、また東京オリンピック開催後の好況期、更にその後の大阪万博も開かれて、長期にわたる民需の大変盛んな時代でありました。
それ以前の勤務先では、建築に関する巾広い分野の指導を受けたお陰で、開設後の実務についてはなんら支障なく、新しい技術の吸収に努めながら、建築主の要望に応えられるよう新しい建物の見学会等に参加したり、また新しい材料等のカタログ集めも大切な仕事の一環でありました。現在のようなインターネットでの活用がまだの時代であり、知識吸収には大切でした。どこの設計事務所も壁面いっぱいに棚を設え、カタログで満杯であったと思います。
その頃の製図道具といえば、T定規と三角定規が主流であり、三角スケールは、尺貫法とメートル法が混在していました。その後にドラフターが主流となり、つい最近まで使用されていましたが、現在ではCAD化されて二次元CADが主流となっています。
わが事務所でも、平成8年に、積算も可能な三次元CADを導入したのですが、実務には不向きで、基本計画や日影図程度に利用したぐらいで高価な物でしたが廃止に至っています。現在では二次元CADの利用ぐらいです。
(建築士事務所協会の歩み)
香川県建築士事務所協会の設立は、昭和46年であり、事務所開設時(S42年)から設立準備のお手伝いに若輩ながら参加させて戴きました。
これにより既存事務所との交流も広がり、貴重な経験に基づく御意見、御指導を戴き、後々の自分自身の活動にプラスになる体験でした。
その後、全国的に協会が設立され、日本建築士事務所協会連合会が発足し、第1回全国大会が昭和51年に東京で開催され、今年の三重大会で第37回となって増々活発になっています。
第20回大会は(H7年)中、四国ブロック協議会の御協力のもと香川県で開催され、香川会の会員にとっては貴重な体験でした。


30周年記念式典に参集された方々に挨拶 開催後、会員同士の結束も強固なものとなり一つの統一された方向性が生まれたのではないかと懐かしく振返っている次第です。
平成12年に私に協会会長にと指名を受けて青天のへきれきの思いになりました。 就任早々には協会三十周年行事が行われ、右往左往でしたが、皆様方の大変なる支援協力をいただき、また私も全身全霊をかけて無事終ったことには今に深く感謝しているところです。
平成17年には耐震偽装事件がおきて、大幅な法律の改正があり、建築士事務所にとっては受難の時代に入りました。
建築確認申請時の添付書類の簡素化、計画変更の範囲の拡大解釈等、考慮は出来ないものかと願う思いです。
建築士事務所を取り巻く現状は、大変厳しい問題が増えており、協会幹部の皆様のご活躍によって改善がはかられる事を願っている次第です。

